「庭があって住まいは完結」 G社の想い

(秋田県造園協会寄稿文)
「庭があって住まいは完結」 G社の想いと重ねて

近年、県都秋田市内で仕事する機会が多くなった。
県南出身の若手カリスマビルダー「G社」が建築した住まいの庭に関わる物件である。
幸運にも、建築住宅に携わるG社の住まいづくりは、

庭あるいは緑がなくてはならない。
庭をつくってはじめて思い描く「住まい」になる

と、高く理念を掲げている。 また、

「もともと、緑豊かな敷地の一部を、切り開いて人が住む建物を建てたというのに。
近い状態に表現したい、 感じたい」

ともいう。

昨今、敷地に建物と駐車スペースを確保して、
付刃的に緑を添えたような住宅が見受けられる。
また、高気密、高断熱をうたい文句に、窓や開口部が極端に少ない住宅が多い。
そんな中、あらかじめ設計プランの段階で、
庭のスペースや緑のある生活を積極的に想定したG社の姿勢に頭が下がる。

建築家、安藤孝雄氏が、
「まずい設計をしたら、樹の一本も植えたらいい」と言ったとか…。
「癒し・やすらぎ」を与えてくれる樹々たちをそういう扱いとはしたくはないが。
住人にとっても、街並みを形成する景観的にとっても、
緑の効能が計り知れないことは言うまでもない。

工事内容については、特に要望がなく「おまかせ」のケースが多い。
施工事例や大まかな配置や樹種については説明するが、
打ち合わせ時に必ず伝えることがある。

「ご要望は伺ったが、気付き、ひらめき、その場の思いで作業するので、
できうれば完成図面は提示したくない。
レストランメニューのような仕上がりの姿はだせない。
どのようなものができるか楽しみにして待って欲しい」と。

さらに、

「気が付いたことあったら、何でも伝えて欲しい。
毎日が検査日と思っている。長年の経験があるが、施主さんから提案で、
前例にない庭に仕上がった良い事例もたくさんある。
たが、受け入れられないこともある、採用するか否やは任せて欲しい」と。

「臨機応変に対応し期待感を」「聴く耳を持つ寛容さ」「信念を持った毅然さ」を主張。
わがままな言い分と思うが、ほとんどの施主さんに快諾していただいている。

早く現場に出かけたく、夜明けが待ち遠しいときがある。
好んだ樹木が現場にうまく収まるか、あれはどう据えようかと思いをめぐらすと…

歳を重ねたが、 四季を感じながら自由気ままに造れる庭や
緑とかかわる仕事を生涯の天職として愉しみたい。

(有)ササヤス
佐々木 政義

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です